【REVIEW】Clap! Clap!『Liquid Portraits』(2020)
イタリアのトラックメイカーCLAP! CLAP!久々の最新作が相変わらず最高でした。
1stアルバム『Tayi Bebba』が話題になったのは2014年ってことでもう6年も前なんですね。世界各地の民族音楽をサンプリングしてベース、テクノ、ハウス、フットワーク・ジューク、ヒップホップなどに昇華していく彼のスタイルは当時から待ってましたって感じでした。
今作もそのスタイルを継承しつつアンビエントチックな曲調が増えてきています。元々ジャズ・ミュージシャンだったということでその移行も納得。とはいえ今回も相変わらずバッチリ踊れる作品になっています。
Clap! Clap! - Mandragora (RUFFMERCY Teaser)
Clap! Clap! - Moving On feat. Martha Da'ro (RUFFMERCY Video)
【REVIEW】UetaShun & Lil'Yukichi『10004』(2020)
UetaShunは昔YungGucciManeって名義でやってた頃から好きで何度かライブも観に行ったりしてたんですよ。当時からなんかカルト的な人気がありましたよね。最初はKOHHの『YELLOW TAPE 3』で名前を目にしたのかな、ちょっとその辺の記憶曖昧です。熱心に追えてはいなかったんですけどずっと活動が止まって本当に動きが謎で、急に改名してアルバムが出たって印象です。
この作品はなんと言えばいいんですかね?幽幻?とにかく凄く細かく色々と変わってるんですよ。Cherry Brown(Lil'Yukichiのラッパー名義)のラップが出てきたと思ったらそのままフェードアウトしたり…。その他もバッと勢いでリリースしてた印象の昔の作品よりも凄くしっかり作り込まれている気がします。
流石 Lil'Yukichi製なブンブン鳴ってるベースの太いビートとは対照的に、その上に乗るラップは内省的でサイケデリックな感覚で、どことなく所々に"死"が漂っているような感じがしました。
万人に受ける内容ではない、それでもこのエグミがどうにもこうにも癖になってしまう。そんな作品です。
UetaShun × Lil'Yukichi - Famous(Lyric Video)
富と名声
RIP I LOVE YOU
【REVIEW】Omega Sapien『Garlic』(2020)
先日紹介したSOGUMMも在籍する韓国のコレクティヴ<Balming Tiger>の緑髪ラッパーOmega Sapienが1stアルバムをリリースしました。今はわかりませんが日本にも住んでいたことがあるみたいですね。ボルチモアを拠点に活動しJPEGMAFIA『All My Heroes Are Cornballs』にも参加していたAbdu Aliが客演で参加。
先行シングルの「Serenade for Mrs.Jeon」、「Ah! Ego」同様に駕籠真太郎が手掛けているジャケットも最高です。
個人的にはSOGUMMがプロデュースの「Ah! Ego」のトラックとラップの合わさった破壊力にとにかく衝撃を受けました。HYPER POPも飲み込んだみたいな完全に奇形のTRAPですよね…。
Omega Sapien - Ah! Ego (Official Visualizer)
他の曲も一筋縄ではいかない曲ばかりですし、あとは彼とにかくMVが面白いんですよ。
Omega Sapien - 'Serenade for Mrs.Jeon' (Official Video)
アルバムと同時にリリースされた「Happycore」のMVはきのこ帝国やYogee New WavesなどのMVを手がける引っ張りだこな印象の日本の映像ディレクターPennackyが手掛けていました。謎の設定すぎる…。
Omega Sapien - Happycore (Official Music Video)
【REVIEW】Alvarius B.『BAROQUE PRIMITIVA』(2011)
ちょっと古い作品を一枚。大好きなバンドSUN CITY GIRLSのAlan Bishopの個人名義Alvarius B.の2011年作。
前々からバンドと並行してこの名義で活動はしていましたが、2007年2月にドラマーCharles Gocherが亡くなりその後発表したアルバム『FUNERAL MARIACHI』を最後にSUN CITY GIRLSの活動を永久にストップすると宣言してからは最初のリリース作品になります。
ほぼ大半が映画音楽家のEnnio Morriconeなどのカバー曲で占められているんですが、ボサノバやアシッド・フォーク調にアレンジされていて彼の諸作の中でも個人的に断トツで好きな作品です。Nancy Sinatraが歌っていた映画『007は二度死ぬ』の主題歌「You Only Live Twice」とThe Beach Boys「God Only Knows」のカバー曲は何度聴いてもグッときてしまいます。
【REVIEW】Qiezi Mabo『Big Bonus』(2020)
いや〜買っちゃいましたね、オークション頑張っちゃいました。実は持ってるんですよMicro SDカード。
Qiezi Maboの1stアルバム『Big Bonus』のオークション形式での販売の全貌が明らかに - FNMNL (フェノメナル)
元LowPassのGiorgio Blaise Givvnがプロデュースを務めると言われている謎の覆面ラッパーQiezi Maboの超限定(市場に流通したのはたった81枚)の1stアルバム。
他に持っている皆様同様にかなり苦労して手に入れたので(主に金銭的に)あんまり内容については触れませんが今年のマイベスト10に入賞確実な素晴らしい作品でした。この作品が2017年にはすでに完成していたのかと思うと震えますね。
とにかくアルバムver.の「Star Beach Love」にはライブでも話題になっていたあの人も入ってるし、頑張って手に入れた甲斐がありましたので全然後悔はないです。
アルバムとは関係ありませんがToshima Fukurouなる人物も気になっている今日この頃。
Qiezi Mabo loves PUNPEE - Qiezi Mabo Forever (Fried Chicken Mix)
Qamisama
【REVIEW】Don Toliver『Heaven Or Hell (CHOPNOTSLOP REMIX)』(2020)
ちょっと変わり種で一枚。
3月にリリースされてまあ今年のHIP HOP界では非常に話題となりましたヒューストンのラッパーDon Toliverの最新作『Heaven Or Hell』。同じくヒューストン出身であるTravis Scottのフックアップという感じで現れた印象で、今まさに最も注目されているラッパーの一人ですね。
これはこれでとても最高な作品だったんですが、この『Heaven Or Hell』をチョップド&スクリュードしたドロドロのREMIXアルバムが本作。
流石本場ヒューストン産、極上レイドバックとヨレヨレのビート感がたまらなくて好きモノにはたまらない一枚になっています。余談ですが自分はこっち聴きすぎて最近オリジナルアルバムの方のピッチに違和感を覚えるぐらいになってしまいました。
オリジナルのジャケを紫(リーンカラー)に染めただけのジャケも最高ですね。
Don Toliver - Heaven Or Hell (CHOPNOTSLOP Remix) [Official Audio]
【REVIEW】ralph『BLACK BANDANA』(2020)
日本ではそこまで多くないGrimeやDrillスタイルのMC、ralphの目下最新作。
プロデューサー陣に盟友Double ClapperzとMURVSAKIが名前を連ねているのにも加えて、彼自身が今一番ノリに乗っている気がします。高速で重心が低い低音ボイスで畳み掛けるラップのスキルは完全に他の同世代から一歩抜きんでた存在で、どの曲もリリックからはとにかく"怒り"がビンビン感じられますね。
MURVSAKIプロデュースのタイトル曲「BLACK BANDANA」や先行シングルの「Selfish」も凄いですけど、なんと言ってもDos Monosからリーダーの荘子itを招いた「FACE (feat. 荘子it)」の低音ラップ同士のバチバチの対決がとんでもない。もう脱帽。
FACE (feat. 荘子it)
ralph - BLACK BANDANA (Prod.MURVSAKI)
ralph - Selfish (Prod. Double Clapperz)