【REVIEW】Macaroomと知久寿焼『kodomono odoriko』(2020)
これ言うと年がバレそうですが自分は小学生の時に初めて買ったCDがたまの『さんだる』って作品だったんですよ。なので個人的なルーツミュージックはたまで、今でもたまの諸作はけっこう聴いています。そんな訳で最近リリースされた元たまの知久寿焼と日本のエレクトロニカ楽団Macaroomとのコラボアルバムが素晴らしい内容だったのでご紹介。
自分はMacaroomについて全く知らなかったんですが元々たまの「電車かもしれない」という曲をカバーしていたことから知久との交流がスタートしたみたいです。そこからライブでの共演を経て、このプロジェクトのアルバム発売を目指したクラウドファンディングで224万円の支援を受けて本作が完成したようで、これも正直全然しらなった…。TwitterのTLで最近見かけてこんなの出てたんだ、って感じでやっと気づいたぐらいです。
「電車かもしれない」をはじめとして、「あるぴの」や「いわしのこもりうた」などたま時代からソロまでの知久の名曲をエレクトロニカでリアレンジした楽曲に加え、本作のための新録曲「kodomono odoriko」も収録。知久の歌声って今の音にけっこう合ってるんですよね。どちらにしろ世代の違う若い音楽家と果敢にコラボする彼の柔軟性が素晴らしいです。
macaroomと知久寿焼 - kodomono odoriko (Official Video)
電車かもしれない
【REVIEW】Tony Velour『Vices Hurt』(2019)
アトランタ出身のラッパーTony Velour。2018年には COMPLEXのBest New Artistに選ばれたりもしてたみたいです。日本だとInjury Reserveのアルバム客演と100 gecsのREMIXアルバムへの参加で知ってる人が多いのかなと思います。どちらも名作なので聴いていない方がいれば是非。
本作はエモーショナルなHIP HOPにHYPER POPやエレクトロのフレーヴァーを絶妙に混合することでそこらのエモラップとは一線を画す作品に仕上がっています。そもそも彼自身のソングライティングのセンスがズバ抜けて高いんですよね。あとは一曲の長さが短いので10曲入りなんですが21分であっという間に一枚が終わってしまいます。
プロデューサーに100 gecsのDylan Bradyを迎えた「Wild」のMVは何故かスーツ姿でストロング缶片手に渋谷の街を泥酔しながら歩いていく内容になっていて思わず笑えます。ラストでも同じくDylan Bradyを迎えた「Pull Up (feat. Dylan Brady)」も素晴らしい。
Tony Velour - Wild (Official Video)
Tony Velour - PULL UP ft. Dylan Brady (Official Music Video)
【PLAYLIST】TRUST NO ONE 2020/09
9月いっぱいで紹介した作品でSpotifyプレイリストを作りました。今月は初月なのでMAXフルボリューム。3時間以上ありますので作業中のBGMなどでお使いください。
【REVIEW】RMR『DRUG DEALING IS A LOST ART』(2020)
これは登場した時にびっくりしましたよね、目出し帽に防弾チョッキの覆面アーティストRMR(Rumorと読むらしいです)。
周りを囲むいかにもギャングな仲間達が拳銃を構えてこちらに向けているサムネイル、YouTubeのオススメで上がってきた「Rascal」のMVを初めて再生した瞬間、視覚と聴覚の情報のギャップに思わず爆笑してしまいました。
RMR - Rascal (Official Music Video)
美声過ぎるんですよ、この感じで。
この曲、Rascal Flattsと言うカントリーグループの「Bless The Broken Road」という曲のメロディをまんま使ってるらしいのでApple Musicからは何回も取り消されてたみたいですが今はあるのでしっかり許可を取ったんでしょう。
そんな「Rascal」も収録した彼の1st EPが本作。アトランタ出身で現在はロサンゼルスを拠点に活動しているということ以外は謎に包まれているRMRですが、 去年バイラルヒットしたLil Nas X「Old Town Road」に続くカントリー・トラップの騎手として注目を集めてるみたいです。というかそんなジャンルがあるんですね、初めて知りました。なるほどこれがカントリー・トラップなのかと思いながら聴かせていただきました。
EPでは「Rascal」にYoung Thugが入ったバージョンも収録されてるんですが、これがまた良くて。
あとスタジオライブの映像もみんな目出し帽かぶってて、最後みんな中指立てたりしてて最高な感じでした。ライブも超美声。
RMR - ROOTS PICNIC LIVE MEDLY Ft 1500 or Nothin'
【雑記】Morley
Morleyってタバコご存知ですか?
これハリウッド映画やアメリカの連続ドラマなんかで作品を超えて登場する架空のタバコなんですよ。古くはヒッチコックの「サイコ」から最新で言えば「Breaking Bad」まで様々なシーンで登場するらしいです。Wikiには膨大な登場作品が羅列されてて、こういうネタは面白くてなんか好きです。
Morley (cigarette) - Wikipedia
「Xファイル」でシガレット・スモーキング・マンが吸っているのももちろんMorleyタバコ。タバコ工場のエピソードもありましたね。
【REVIEW】Free Babyronia / Ramza『GOOPY DRY』(2020)
名古屋を拠点に活動する二人のビートメーカーFree BabyroniaとRamzaのスプリットEPです。Free Babyroniaの主催する<AUN Mute>からはRamzaの単独作品もリリースしているのでレーベルメイトという感じですかね。
RamzaはCampanellaへの楽曲提供や、折坂悠太『平成』のトラック・アレンジメントでもう完全に時の人って感じがします。SP-404を使ったライブパフォーマンスも最高にかっこいいんですよ。
電子音、フィールドレコーディングなどの様々なサンプリング素材を組み合わせてビートに再解釈していくという手法は本来オーソドックスなHIP HOPの制作方法のはずなのですが、この二人はちょっと他とはセンスが桁違いな気がします。ラフなようでいて非常に繊細に一つ一つの音が鳴っていて思わず集中して一枚聴き通してしまいます。音楽というよりもアートフォームに近いような、それでいて完全に踊れるサウンド。Brainfeeder周りの音が好きな方にも確実にオススメです。
それぞれのソロ作品も素晴らしいのでまたこちらも機会があればご紹介します。
Free Babyronia | Boiler Room Nagoya
Ramza | Boiler Room Nagoya
https://www.instagram.com/ramza_mdm/
【REVIEW】Mom『21st Century Cultboi Ride a Sk8board』(2020)
実はつい最近までMom、全然興味なかったんですよ。
ラジオで「タクシードライバー」がよく流れていてなんとなく知っていたんですがもうあれも2018年の曲なんですね。このアルバムが3作目みたいですがそこまでの活動とかも全然知らなくて…。
で、なんで彼に興味を持ったかというと今回のアルバムにも入っている「カルトボーイ」って曲のシングルを偶然聴く機会があったんですよ。いや、凄くないですか?JPEGMAFIAとBROCKHAMPTONの合いの子みたいな、って言ったら言い過ぎですかね。とにかく衝撃を受けました。
Mom / カルトボーイ
そこから暫くしてアルバムが出て他の曲も含めて聴き込んでいった感じです。
正直「カルトボーイ」ぽい曲は他に収録されてなかったんですが、良かったんですよねこれがかなり。特に後半は風景を感じさせる音楽というか。アルバム自体も結構気に入って聴いてます。あとアルバムのタイトルがすごく良いですね。
Mom / アンチタイムトラベル